院長ブログ

2017.07.18更新

暑い夏が来ました。すでにバテ気味の方、ご自愛下さい。

最近、毎日のように報道されていた人物、誰だったでしょうか。将棋の藤井四段ですね。私も一将棋ファンとして注目しておりました。将棋の話題がこれだけ盛り上がるのは、羽生さん(現、三冠)が七冠制覇した時以来で、嬉しい限りです。しかし、こうも続くと加熱報道に辟易する場面が増えています。将棋の内容とは別に、勝負飯が何だったかとか、すでに必要ない情報ばかり。連勝記録が途絶えた今、少し冷却すべき時だと思います。加熱報道に真実はないのです。これで前途を邪魔された有能な若者がどれだけいたか。それを心配する立場になって、今後も見守っていきます。

本題に入ります。糖尿病のコントロールが悪化する要因はいろいろですが、一般に日本では冬場に悪化しやすいことが知られています。それは、例えば正月休み中に、こたつに入って「餅とみかんの食べ放題」になってしまったことが原因かも知れないが、それだけでなく、忘年会、新年宴会、お歳暮やお年賀でいただいたもの、もしかすると大量のバレンタインチョコが原因かも知れません。

では、夏はどんな原因で血糖コントロールが悪化するのか。それは何といっても冷たいジュース、アイスクリームの類です。いつもお茶や冷水を飲んでいて、ジュースに興味がない方は全く心配ありません。しかし、2型糖尿病の患者さんにとって、「これくらいは大丈夫」との思いで飲んだジュースで、はっきりと血糖コントロールが悪化してしまうのは、ある意味で腑に落ちないものがあるでしょう。だから、夏に何を飲むかは重大な課題です。そこで、比較的若い糖尿病患者さんに必ず訊ねるのが、「たまに炭酸飲料を飲みたくなりませんか」、です。飲みたいという方に、ぜひお勧めしているものがあるのです。

特定の商品の宣伝になるので、避けるべきかと思いましたが、敢えて紹介します。飲料メーカーのアサヒが出しているブランド「ウィルキンソン」の、ドライコーラ、というものがあります。炭酸水にコーラ風味を加えただけで、甘みがありませんので、これなら血糖に全く影響がありません。平成28年6月から発売されていたそうですが、最近コンビニでみつけて、驚いた逸品です。レモン風味の商品もあるようです。この2品はお勧めです。

なお、この他に多くみられる、「カロリーゼロ商品」には人工甘味料が入っており、これらはダメです。カロリーゼロは、本当はゼロではない。それを知らずに大量に飲む人が必ずいらっしゃる。その結果として空腹時血糖値が上昇します。これには腸内フローラの撹乱が関与しているとの論文もあり、今後は可能ならば人工甘味料に対する規制を取り入れることも必要な時代、と思っています。

投稿者: むらもとクリニック

2017.07.11更新

よろしくお願いいたします。

投稿者: むらもとクリニック

2017.05.04更新

先回のブログから、久しぶりになります。

最近揺れ動く世界情勢の中にあっても、浅田真央選手の引退は、世界中の人々にとって大きな出来事でした。連日のTVニュースや特別番組に加えて、スポーツ紙やスポーツ関連雑誌に特集が組まれるなど、国民的スターならではの反響でした。私にとっても、スポーツ選手の引退会見を観て、涙をこらえるというのは、おそらく初めての経験でした。

先回書いた、果糖の話題の続きを書きます。健康や医学に関することは各種のTV番組にとりあげられることが多く、理解すればなかなか役に立ちます。しかし、以前の某TV番組の中で、「果糖の摂りすぎは老化につながる」とされていたのには、疑問を感じました。

同番組内には有名な大学教授が出演され、果糖液の中に沈められた骨がボロボロに変色してしまった様子を見せていました。確かに代謝学の専門家の間では、老化の原因として最終糖化産物(AGE)の研究が進んでおり、果糖はブドウ糖よりもAGEを産生しやすいから、食べ過ぎない方がよいと主張されているのです。しかし、このようなことは実際に起こるのでしょうか。

本題の前に、まずは雑学知識ですが、果物と野菜の違いは植物学的には木か草か、ということになるそうです。しかし、これに基づいて分類すると、少々異和感を覚えるものがあります。たとえば、レモン、トマトは果物、バナナ、イチゴ、スイカ、メロンは野菜となります。糖度の高いトマトはフルーツトマトと呼ばれますが、もともとフルーツだから矛盾した言葉ですね。難しいのはバナナで、木の幹のようなものがありますが、あれは硬い茎が集合しているのだそうで、草、つまり野菜となるようです。

でも我々にとって、このような分類はどうでもよく、ここでは甘いものを果物と呼んでおきましょう。先回述べたように、果物に含まれる糖質には、果糖、ブドウ糖、ショ糖の3種があります。果糖とブドウ糖は小腸から吸収され、一緒に肝細胞内に運ばれますが、最初の代謝がブドウ糖よりも20倍ほど進みやすく、一瞬で濃度が下がるようになっています。しかも、生体にはブドウ糖を合成する代謝経路(糖新生)が存在しますが、果糖を合成する代謝経路は存在しません。結果として、肝臓を素通りして全身血流に入る果糖はごく少量となっており、実際に末梢の血を採って調べると、果糖の濃度はブドウ糖の濃度の500分の1ほどになっているとのことです。だから、果糖がブドウ糖よりも数倍AGEを産生しやすいとはいっても、全くといっていいほど老化への影響はありません。つまり、老化の原因である果糖(ひどい言い方をすれば、一種の毒物)から身を守るため、全身血流にまわらないように、肝臓で解毒しているのだと思っています。

こういった理論的背景を証明する、日本人の疫学研究があります。果物摂取量が多い人は、摂取量が少ない人に比べて2型糖尿病発症が増加することはなく、脳血管疾患での死亡率は減少することがわかっています。これが果物は健康食品であると考える理由です。

ただ、付け加えるならば、肝硬変の方にとっては事情が異なってきます。肝硬変の患者さんは、もともと肝臓の代謝能力(解毒作用)が低下しています。しかも肝臓の周囲に、門脈から全身血流につながるバイパス血管が多数発生しているため、果糖がまったく代謝を受けないままで全身にかなり回ってしまうはずです。したがって肝硬変の患者さんは、果物や砂糖の摂取をひかえるべき、と思います。これを実証する疫学研究が期待されるところです。

投稿者: むらもとクリニック

2016.12.26更新

いつの間にか年末、久しぶりのブログになります。冬ですので、やはり血圧の話題が優先です。

先回のブログで述べたように、ME差が存在する場合、①高塩分摂取(とくに軽度の心不全を合併した例)、②睡眠時無呼吸症候群の合併、③その他の原因による睡眠不足、④就寝前の多量の飲酒、⑤交感神経の過緊張、の可能性を考えます。問診では、仕事のある患者さんについては土日曜の家庭血圧は高くないかどうか、また飲酒習慣の有無を踏まえながら、夜間に覚醒、排尿することがあるか、悪夢をみたり、覚醒時に苦しい感じがしたり、発汗したりすることがあるか、外食などでたくさん夕食を食べると、翌朝の血圧が高くないかどうか、早朝の排尿は多量であるかどうか、また夕方以降に下肢のむくみがひどくないかどうか、といったことを聴取します。これである程度問題点が浮き彫りになったら、確認のために尿中ナトリウム定量検査や、24時間自由行動下血圧測定検査を施行している訳です。

実際、食塩感受性を持つ患者さん(食塩多量摂取で翌朝の血圧が明らかに上昇するなど、食塩摂取量によって影響を受けやすい患者さん)では、しっかりと減塩食を実行してもらうか、あるいは利尿薬を併用することで、夜間の排尿回数が減り、早朝の家庭血圧が低下するといった、劇的な改善を認めることがあります。また中等度以上の睡眠時無呼吸症候群(CPAP治療が必要)を合併している患者さんは、現在のところ当院の高血圧患者さん全体の約3パーセントに発見されており、なかなかの高頻度です。今後、さらに発見される可能性もあり、慎重かつ積極的な診療が求められています。高血圧診療は、地道に取り組む事に尽きる、と考えている次第です。

さて、下肢浮腫のある患者さんに対しては、減塩食や利尿薬投与以外の方法もあり、これもいずれ述べます。

 

 

投稿者: むらもとクリニック

2016.09.26更新

オリンピック、パラリンピックが終わりました。プロ野球は佳境、大相撲は、日本人力士の全勝優勝に久しぶりに沸きました。そんな中で、気づけば勉学の秋です。久しぶりに糖尿病関連のことを書きます。
糖尿病診療の中で、よく問題になるのが、くだものは食べてもよいのかというものです。健康志向の方が、お好みのスムージーを作って飲んでいるという事実もあり、正しい知識を得ていただく必要があります。
ところで、くだものが含む果糖については、2つほど、誤解されていることがあります。その一つが、今回取り上げることで、血糖値への影響です。
くだものはいずれも甘いですが、その甘みの成分は、主にブドウ糖、果糖、ショ糖の3種があり、くだものの種類によって様々な割合で混在しています。ショ糖は小腸壁で吸収される際にブドウ糖と果糖に分解されますから、結局はブドウ糖と果糖の2種類が重要です。
ブドウ糖は、当然のことですが血糖値を上げます。では、残りの成分である果糖はどうでしょうか。これには、代謝の知識が必要です。
果糖は、小腸壁から吸収された後、門脈を通って肝臓へ流れ込みます。肝細胞の中で、果糖は速やかに3段階の代謝を受けて、グリセルアルデヒド3リン酸という物質に変化します。肝細胞中にはこの物質の濃度が急速に上昇しますが、その後、一部はそのまま解糖系へ進んでエネルギーとして利用されたり、アセチルCoAを経て中性脂肪合成へ進みます。しかし、一部は糖新生へと逆行することが知られており、血糖値を上昇させます。
実際、2型糖尿病患者さんに果糖だけを実験的に摂取してもらった後の血糖値を測定した論文では、血糖値は確かに上昇しており、同等量のブドウ糖を摂取した時に比して39%の上昇度と報告されています。果糖摂取で血糖値は「全く上がらない」とか、「少ししか上がらない」と聞いておられた方は多いと思いますが、以外に上昇する事実に、驚くのではないでしょうか。くだものにはブドウ糖も含まれますから、くだものを食べると、現実にはブドウ糖による血糖値上昇も加わってきます。
では、くだものは極力食べない方がよいのでしょうか?意外にも、私の答えは、ノーです。いきつくべき結論を先に述べますが、「くだものは健康食品である」と思っています。その理由は、少し複雑なので、続編で述べます。

投稿者: むらもとクリニック

2016.08.16更新

夏も中終盤。オリンピックの真っ只中です。選手達のがんばりには敬意を払うほかありません。精神面も含めた厳しい鍛錬が、いい結果を生んでいるのですね。この後も注目です。

家庭血圧測定を基本とした高血圧治療において、最も重視するのが、このME差です。早朝の血圧(平均値)と就寝時血圧(平均値)の差を意味しており、MorningとEveningの頭文字をとってME差と呼んでいます。

ここで家庭血圧測定の基本に戻りますが(2016年5月5日ブログ参照)、朝は朝食前に計ることが絶対条件です。夜は就寝直前に計るのが基本ですが、入浴直後と飲酒後に計測するのは避けるべきです。このへんは、患者さん個々の生活様式をしっかり聞く必要があります。具体的には飲酒習慣のある患者さんはその飲酒量、また入浴時刻と就寝時刻から考え、その患者さんに適した計測タイミングを、当院では指導しております。具体的には、飲酒開始直前であったり、入浴直前であったりと、様々です。

初診された段階で、このように計測タイミングを決めているのですが、その後、何らかの都合で患者さんが計測タイミングを変えていらっしゃることを、しばしば見かけます。高血圧診療は、こんなところに気づくかどうかも、重要と考えています。

さて、早朝と夜の家庭血圧は、理想的には差がないのがよいのですが、早朝の血圧が夜よりも高い場合、通常よりも脳卒中発症率が多いことが問題となっています。実際には、ME差15mmHg未満なら問題ないとされていますが、これをはるかに越えるME差を示す患者さんもいらっしゃいます。

そのような場合、早朝血圧が上昇する原因を考察します。ざっと挙げますと、①高塩分摂取、②睡眠時無呼吸症候群の合併、③無呼吸ではないとしても睡眠の質が不良、④就寝前の多量の飲酒、⑤交感神経の過緊張、といった問題点が内在していないかどうかを考えます。高齢の患者さんの場合、①と③は、夜間覚醒、夜間排尿といった形であらわれることが多く、密接に関係してきます。こういった場合、軽い心不全を合併しているケースもあり、かりに男性なら前立腺肥大があるかどうかも、関わってきます。夜中に苦しくなって目がさめたことがあったり、いやな夢をよくみたり、といった場合は②、③が疑われることになります。

実はこれらの鑑別はそれほど簡単ではありませんが、当院ではこれらを探る問診の後に、見当をつけるべく、諸検査を試みます。①については尿中ナトリウム定量、②については終夜睡眠ポリグラフィー、⑤については24時間自由行動下血圧測定、といった検査が施行できる体制を整えております。これらの検査の結果から、適切な治療でME差が改善することを、いつも願っています。次のブログでは、ME差を改善させるための、薬を使った治療法と、薬以外の治療法(生活指導)について述べます。

投稿者: むらもとクリニック

2016.07.18更新

梅雨明けも間近かと思われますが、蒸し暑い毎日です。参議院選の後は都知事選。今年も暑い夏になりそうです。
さて、前回もとりあげた週刊誌報道ですが、その後7週連続掲載に及んでいます。診療の中でもこれに関する問い合わせが多くなっています。しかし、たかが週刊誌の記事と侮らず、これらの記事が、もしも医療費抑制を大義名分として書かれたものであるならば、公平な立場で考え直さなければなりません。どうしたら皆様に良質な医療を提供しつつ、医療費を抑制できるのか。これはとてつもなく難しい問題で、軽々しく結論を出すことはできません。そこで、ここでは主にコレステロール降下薬によって現れる副作用として注目の横紋筋融解症について、考えてみたいと思います。
まず述べておきたいことは、横紋筋融解症はめったに起こらない副作用です。薬をのむことだけの要因というよりは、もともと腎機能低下、甲状腺機能低下があったり、脱水、運動負荷といった二次的な要因がからんだ時に発生しやすくなるとされています。ところでこれからの季節で懸念される熱中症は、脱水症状を含んだ、とても危険なものです。すでに昨年を上回る数の入院患者さんが発生しているとのことです。熱中症の結果として深部体温が上昇した場合、横紋筋融解症がおこり、急性腎不全などを合併して時に生命の危機に陥ります。このことは、十分理解しておく必要があります。
後に徳川2代目将軍となった徳川秀忠は、3万8千の大軍を率いて木曽の山中を縦走したものの、結局、関が原の戦いに間に合わなかったことは有名な史実です。その途中、秀忠は、血の小便が出るほど急いだのに、と漏らすシーンが過去の大河ドラマにありました。これも史実かどうかは分かりません。しかし本当であれば、暑い山中(現在の10月にあたるそうですが)での脱水に加えて過重労働したためにおこった、横紋筋融解症に間違いないと思われます。
実際には、発熱、倦怠感、筋肉痛(かぜと紛らわしい)とともに、赤褐色(コーラ色)の尿が出ます。横紋筋に含まれるミオグロビンについては、過剰摂取すると糖尿病発症リスクを増加させうるものとして過去のブログ(2012/10/27~2012/12/02)でも述べましたが(http://www.muramoto-clinic.com/blog/blog/2012/10/)(http://www.muramoto-clinic.com/blog/blog/2012/11/)(http://www.muramoto-clinic.com/blog/blog/2012/12/)、排出している赤い尿は血液の色ではなく、ミオグロビンの色です。赤い筋肉をすりつぶしたもの、と考えれば理解しやすいと思います。血液ではないのに、一般の尿検査では潜血反応陽性となる(ヘモグロビンとミオグロビンの構造が似ているため)ことも、憶えておくべきと思います。
このように、水分や塩分を十分に補給せずに炎天下で運動すれば、誰でも熱中症から横紋筋融解症になります。ゴルフやテニスや登山などをなさる方は、十分すぎるくらいに注意していただきたいと思います。私の結論としては、薬によって、まれにしか起こらない横紋筋融解症を心配するくらいなら、熱中症対策を講じる方が現実的には有意義である、と私は考えます。

投稿者: むらもとクリニック

2016.06.27更新

 梅雨入りして、すっかり暑くなりました。ちょっと前のことですが、イチロー選手、やりましたね、安打数世界新記録達成。久しぶりにスカッとしました。1つずつ、コツコツやること。基本に忠実であること。満足・慢心しないこと・・・どんな領域にも共通する、成功への王道だと思います。
 さて、イギリスの大変革をはじめとして世界経済は混沌としていますが、医療の方では、これまでの努力に横槍を入れるような報道があります。一つは最近、ある一般週刊誌に掲載されている、医療に対するバッシング記事。もう一つは、小林麻央さんの乳癌にからんで、がん検診は本当に役に立っているのか、という報道。いずれも、まれに起こる事態を大きくクローズアップすることで、医療に否定的な報道に仕上げることは簡単にできる、という例です。我々は、こういった報道には慣れているつもりです。しかし、一般の方はどのくらい影響されてしまうのでしょうか。心配です。短絡的な判断をなさらないよう、ぜひ冷静になって欲しいものです。
 前者の週刊誌報道は、ご丁寧なことに今日まで4週連続で掲載されています。主に薬漬け医療を否定する内容で、高い薬や、よく使われる薬について、まれにしか起こらない副作用を強調するなどして、使うべきでない・のむべきでないと一括してバッシングされています。また手術否定の記事もあり、今後も連載が続くかもしれません。細かいことを1つ1つ述べればきりがありませんが、全体的に見て「斜めから見た評価」となっています。とくに糖尿病治療薬であるDPP-4阻害薬に対する批判はかなりひどいもので、SU薬を使わなければ安全性は誰もが認めているものです。
 これらの記事を見て、薬の服用や通院をやめてしまう患者さんがいらっしゃるかも知れませんが、服用をやめた貴方が不利益を被ったとしても、責任を取ってくれる人がいるわけではありません。あえて深読みすると、このバッシング記事は、少しでも医療費の増大に歯止めをかけることを目的としているように思えてなりません。そうであれば、5月末から掲載が始まったことにも意味があるかも知れないと考えています。貴方が医療費の抑制に「協力」してあげる必要はなく、そもそも各医療機関レベルで、医療費がむやみに増大しないように尽力されてしかるべき(私はそう信じています)です。不要な薬のチェックや、無用な検査を避けることなどがこれに当たります。
 ただし、批判の根拠となっている副作用は事実無根のものではなく、例えば糖尿病や高血圧症の治療における「下げすぎ」の弊害については、我々にとって周知の事実です。また、スタチン剤などによる横紋筋融解症は、これからの季節の熱中症でも起こりうるものとして、とても重要と思います。これの機序や意義について深く知ることが、実は当クリニックが目指す健康長寿ともかかわってくる、重要事項です。やはり1回では書ききれませんでした。続編をお待ち下さい。

投稿者: むらもとクリニック

2016.05.05更新

最近のニュースの中で、医療に関係するものとして、芸人の前田健さんの訃報がありました。44歳の若さで心筋梗塞が発症したと思われます。患者さんからの問い合わせもあり、その都度、私の考察を述べています。おそらく食前・食後ともに中性脂肪値が高く、結果として超悪玉コレステロール値が高かったのではないかと思われます。そうであれば防ぐことができた事故であるだけに、悔やまれます。
今回は血圧について書きます。高血圧の件で当院に初めて診察にこられる患者さんの多くは壮年期の方です。その中には軽症の方が多く含まれていますが、だからといって軽視せず、ご期待には十分応えていかなければいけません。
高血圧診療の基本は家庭血圧測定で、これは言うまでもありません。そもそも家庭で血圧を測ってみないと、本当の高血圧症かどうか診断がつかない、というのが最大の理由です。特別な理由がない限り、高血圧患者さんの全員に家庭血圧を測定して欲しいと考えています。しかし、若い方の中には、まだ家庭血圧計を購入する決心がつかない方もあり、その場合には当院では1週間、家庭血圧計を貸し出しています。
さて高血圧診療を行う際、我々が指針にしている「高血圧診療ガイドライン」というものがあります。血圧測定法から治療法まで、様々な決め事が書かれており、世界的水準から評価すればとてもよくできた指南書です。
その中で、家庭血圧の測りかたについての記載をとりあげますと、「座って1~2分の安静の後に、基本的に2回測り、その平均値を記録する」とあります。以前は2回測るとの記載はなかったものが、追加されました。しかし、当院では、1~2分の安静の後なら、1回測定するだけで十分との考え方を貫いています。これには2つの理由があります。
現実的には、朝食前の家庭血圧測定は、出勤前の気忙しさから「座ってすぐに」測定してしまうことが多いはずです。そういった場合に、1回目は普段より極端に高い血圧が表示され、おかしいと感じて2回目を測ると、下がっている。ならば、しっかり安静をとってから測れば、ホルモン動態(レニン・アンギオテンシン系)も安定するので1回ですむ、ということ。これが1つ目の理由。
もう一つの理由は、1回測るだけでもマンシェットを巻いた腕の末梢側は、一時的な虚血に陥るため、これに対する正常な反応として、血管内皮から一酸化窒素(NO)なる血管拡張物質が分泌されるはずで、この効果で2回目は血圧が下がっていてもおかしくないのです。血圧を測ったあとに腕が温かくなると感じられる方は、この現象が起こっている証拠で、血管内皮機能がしっかり保たれている患者さんほど、この変化は強く現れると思われます。だから本来の血圧を知るためには、1回目が最もよい、という考え方です。
当院ではこのような理由も添えながら、家庭血圧の測定法を最初にしっかり説明しています。我々が使う言葉で言うと、たかが家庭血圧、されど家庭血圧、です。今回のブログは、皆さんにとって具体的な利益にならなかったかも知れませんが、家庭血圧を深く読み解きたいと願っている私の考え方の一部を述べたまでです。できれば続編を書きます。

投稿者: むらもとクリニック

2016.02.01更新

やっと本格的な冬を迎え、インフルエンザ流行も始まりました。久しぶりのブログ更新になります。最近の巷の話題はいくつかありますが、ひとつ挙げるならSMAP騒動でしょう。まるくおさまっていくのかどうか、気になります。日本経済に影響を与えかねない問題であるためか、何と国会で首相に質問した議員がいたとか。

今回は、糖尿病治療における低血糖に対する注意について述べます。

日本糖尿病学会が、糖尿病治療の目標値設定として、熊本宣言を発表したのは2013年5月のことになります。患者さんの中にも、熊本宣言という言葉も含めて、その内容を知っている方がいらっしゃいます。血糖値は下げれば下げるほどよいといものではなく、患者さんの条件によって流動的に設定しようというものですが、基本的にはHbA1c値を7.0%未満に保つようにし、正常な耐糖能の人なみの血糖値を目指す場合はHbA1c値6.0%未満を目指そう、となっています。

しかし、実際には薬を使った糖尿病治療においては、思いがけない場面で低血糖発作が少なからぬ患者さんに起こっていると思われます。従ってHbA1c値6.0%未満という目標値は、いつでも低血糖発作を起こす可能性があり、現実的でないと感じます。

私が所属する日本ローカーボ食研究会では、来る平成28年3月6日に第6回学術総会が開催され、低血糖を1回も起こさない治療がテーマとなっています。この会の中で、僭越ながら私も壇上で2題しゃべらせていたくことになっています(こちら)。重症低血糖発作を1回でも起こすと、心血管病で死亡する危険性が2.69倍(ADVANCE試験より)にも上昇し、また、低血糖発作を反復するごとに認知機能低下が起こる危険性が1.26倍~1.94倍も上昇することがわかっており、それは血糖値を積極的に下げることの利益を完全に打ち消してしまうものになるはずです。このことを強調し、無理のない目標値を提唱したいと思います。

研究会は、医師のみでなく栄養士、薬剤師、看護師などの方も参加できるものですので、このブログをお読みになった有志の方は、ぜひご参加下さい(3月6日は日曜日で、少々の参加費が必要です)。

ところで今回のブログのタイトルですが、言わずと知れたSMAPの代表曲「世界にひとつだけの花」のオープニングです。この名文句を糖尿病治療に当てはめると、1番を目指して血糖値を下げなくてもいいよ、と語っています。私には2人の糖尿病患者さんが、お互いの成績を競い合っている様子が目に浮かんできます。カーレースに例えるなら、1等賞を目指すとコーナーぎりぎりを攻めることになりますが、たまにコースアウトしてしまうのが、低血糖発作ということです。実際の糖尿病治療においては、それが死亡リスク増大、認知症リスク増大、という甚大な不利益につながるわけですから、そんな無理をしなくてもよい、と先人たちは教えてくれているのです。SMAPも無理せず活動を続けて欲しいものです。

 

投稿者: むらもとクリニック

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