院長ブログ

2016.07.18更新

梅雨明けも間近かと思われますが、蒸し暑い毎日です。参議院選の後は都知事選。今年も暑い夏になりそうです。
さて、前回もとりあげた週刊誌報道ですが、その後7週連続掲載に及んでいます。診療の中でもこれに関する問い合わせが多くなっています。しかし、たかが週刊誌の記事と侮らず、これらの記事が、もしも医療費抑制を大義名分として書かれたものであるならば、公平な立場で考え直さなければなりません。どうしたら皆様に良質な医療を提供しつつ、医療費を抑制できるのか。これはとてつもなく難しい問題で、軽々しく結論を出すことはできません。そこで、ここでは主にコレステロール降下薬によって現れる副作用として注目の横紋筋融解症について、考えてみたいと思います。
まず述べておきたいことは、横紋筋融解症はめったに起こらない副作用です。薬をのむことだけの要因というよりは、もともと腎機能低下、甲状腺機能低下があったり、脱水、運動負荷といった二次的な要因がからんだ時に発生しやすくなるとされています。ところでこれからの季節で懸念される熱中症は、脱水症状を含んだ、とても危険なものです。すでに昨年を上回る数の入院患者さんが発生しているとのことです。熱中症の結果として深部体温が上昇した場合、横紋筋融解症がおこり、急性腎不全などを合併して時に生命の危機に陥ります。このことは、十分理解しておく必要があります。
後に徳川2代目将軍となった徳川秀忠は、3万8千の大軍を率いて木曽の山中を縦走したものの、結局、関が原の戦いに間に合わなかったことは有名な史実です。その途中、秀忠は、血の小便が出るほど急いだのに、と漏らすシーンが過去の大河ドラマにありました。これも史実かどうかは分かりません。しかし本当であれば、暑い山中(現在の10月にあたるそうですが)での脱水に加えて過重労働したためにおこった、横紋筋融解症に間違いないと思われます。
実際には、発熱、倦怠感、筋肉痛(かぜと紛らわしい)とともに、赤褐色(コーラ色)の尿が出ます。横紋筋に含まれるミオグロビンについては、過剰摂取すると糖尿病発症リスクを増加させうるものとして過去のブログ(2012/10/27~2012/12/02)でも述べましたが(http://www.muramoto-clinic.com/blog/blog/2012/10/)(http://www.muramoto-clinic.com/blog/blog/2012/11/)(http://www.muramoto-clinic.com/blog/blog/2012/12/)、排出している赤い尿は血液の色ではなく、ミオグロビンの色です。赤い筋肉をすりつぶしたもの、と考えれば理解しやすいと思います。血液ではないのに、一般の尿検査では潜血反応陽性となる(ヘモグロビンとミオグロビンの構造が似ているため)ことも、憶えておくべきと思います。
このように、水分や塩分を十分に補給せずに炎天下で運動すれば、誰でも熱中症から横紋筋融解症になります。ゴルフやテニスや登山などをなさる方は、十分すぎるくらいに注意していただきたいと思います。私の結論としては、薬によって、まれにしか起こらない横紋筋融解症を心配するくらいなら、熱中症対策を講じる方が現実的には有意義である、と私は考えます。

投稿者: むらもとクリニック

2016.06.27更新

 梅雨入りして、すっかり暑くなりました。ちょっと前のことですが、イチロー選手、やりましたね、安打数世界新記録達成。久しぶりにスカッとしました。1つずつ、コツコツやること。基本に忠実であること。満足・慢心しないこと・・・どんな領域にも共通する、成功への王道だと思います。
 さて、イギリスの大変革をはじめとして世界経済は混沌としていますが、医療の方では、これまでの努力に横槍を入れるような報道があります。一つは最近、ある一般週刊誌に掲載されている、医療に対するバッシング記事。もう一つは、小林麻央さんの乳癌にからんで、がん検診は本当に役に立っているのか、という報道。いずれも、まれに起こる事態を大きくクローズアップすることで、医療に否定的な報道に仕上げることは簡単にできる、という例です。我々は、こういった報道には慣れているつもりです。しかし、一般の方はどのくらい影響されてしまうのでしょうか。心配です。短絡的な判断をなさらないよう、ぜひ冷静になって欲しいものです。
 前者の週刊誌報道は、ご丁寧なことに今日まで4週連続で掲載されています。主に薬漬け医療を否定する内容で、高い薬や、よく使われる薬について、まれにしか起こらない副作用を強調するなどして、使うべきでない・のむべきでないと一括してバッシングされています。また手術否定の記事もあり、今後も連載が続くかもしれません。細かいことを1つ1つ述べればきりがありませんが、全体的に見て「斜めから見た評価」となっています。とくに糖尿病治療薬であるDPP-4阻害薬に対する批判はかなりひどいもので、SU薬を使わなければ安全性は誰もが認めているものです。
 これらの記事を見て、薬の服用や通院をやめてしまう患者さんがいらっしゃるかも知れませんが、服用をやめた貴方が不利益を被ったとしても、責任を取ってくれる人がいるわけではありません。あえて深読みすると、このバッシング記事は、少しでも医療費の増大に歯止めをかけることを目的としているように思えてなりません。そうであれば、5月末から掲載が始まったことにも意味があるかも知れないと考えています。貴方が医療費の抑制に「協力」してあげる必要はなく、そもそも各医療機関レベルで、医療費がむやみに増大しないように尽力されてしかるべき(私はそう信じています)です。不要な薬のチェックや、無用な検査を避けることなどがこれに当たります。
 ただし、批判の根拠となっている副作用は事実無根のものではなく、例えば糖尿病や高血圧症の治療における「下げすぎ」の弊害については、我々にとって周知の事実です。また、スタチン剤などによる横紋筋融解症は、これからの季節の熱中症でも起こりうるものとして、とても重要と思います。これの機序や意義について深く知ることが、実は当クリニックが目指す健康長寿ともかかわってくる、重要事項です。やはり1回では書ききれませんでした。続編をお待ち下さい。

投稿者: むらもとクリニック

2016.05.05更新

最近のニュースの中で、医療に関係するものとして、芸人の前田健さんの訃報がありました。44歳の若さで心筋梗塞が発症したと思われます。患者さんからの問い合わせもあり、その都度、私の考察を述べています。おそらく食前・食後ともに中性脂肪値が高く、結果として超悪玉コレステロール値が高かったのではないかと思われます。そうであれば防ぐことができた事故であるだけに、悔やまれます。
今回は血圧について書きます。高血圧の件で当院に初めて診察にこられる患者さんの多くは壮年期の方です。その中には軽症の方が多く含まれていますが、だからといって軽視せず、ご期待には十分応えていかなければいけません。
高血圧診療の基本は家庭血圧測定で、これは言うまでもありません。そもそも家庭で血圧を測ってみないと、本当の高血圧症かどうか診断がつかない、というのが最大の理由です。特別な理由がない限り、高血圧患者さんの全員に家庭血圧を測定して欲しいと考えています。しかし、若い方の中には、まだ家庭血圧計を購入する決心がつかない方もあり、その場合には当院では1週間、家庭血圧計を貸し出しています。
さて高血圧診療を行う際、我々が指針にしている「高血圧診療ガイドライン」というものがあります。血圧測定法から治療法まで、様々な決め事が書かれており、世界的水準から評価すればとてもよくできた指南書です。
その中で、家庭血圧の測りかたについての記載をとりあげますと、「座って1~2分の安静の後に、基本的に2回測り、その平均値を記録する」とあります。以前は2回測るとの記載はなかったものが、追加されました。しかし、当院では、1~2分の安静の後なら、1回測定するだけで十分との考え方を貫いています。これには2つの理由があります。
現実的には、朝食前の家庭血圧測定は、出勤前の気忙しさから「座ってすぐに」測定してしまうことが多いはずです。そういった場合に、1回目は普段より極端に高い血圧が表示され、おかしいと感じて2回目を測ると、下がっている。ならば、しっかり安静をとってから測れば、ホルモン動態(レニン・アンギオテンシン系)も安定するので1回ですむ、ということ。これが1つ目の理由。
もう一つの理由は、1回測るだけでもマンシェットを巻いた腕の末梢側は、一時的な虚血に陥るため、これに対する正常な反応として、血管内皮から一酸化窒素(NO)なる血管拡張物質が分泌されるはずで、この効果で2回目は血圧が下がっていてもおかしくないのです。血圧を測ったあとに腕が温かくなると感じられる方は、この現象が起こっている証拠で、血管内皮機能がしっかり保たれている患者さんほど、この変化は強く現れると思われます。だから本来の血圧を知るためには、1回目が最もよい、という考え方です。
当院ではこのような理由も添えながら、家庭血圧の測定法を最初にしっかり説明しています。我々が使う言葉で言うと、たかが家庭血圧、されど家庭血圧、です。今回のブログは、皆さんにとって具体的な利益にならなかったかも知れませんが、家庭血圧を深く読み解きたいと願っている私の考え方の一部を述べたまでです。できれば続編を書きます。

投稿者: むらもとクリニック

2016.02.01更新

やっと本格的な冬を迎え、インフルエンザ流行も始まりました。久しぶりのブログ更新になります。最近の巷の話題はいくつかありますが、ひとつ挙げるならSMAP騒動でしょう。まるくおさまっていくのかどうか、気になります。日本経済に影響を与えかねない問題であるためか、何と国会で首相に質問した議員がいたとか。

今回は、糖尿病治療における低血糖に対する注意について述べます。

日本糖尿病学会が、糖尿病治療の目標値設定として、熊本宣言を発表したのは2013年5月のことになります。患者さんの中にも、熊本宣言という言葉も含めて、その内容を知っている方がいらっしゃいます。血糖値は下げれば下げるほどよいといものではなく、患者さんの条件によって流動的に設定しようというものですが、基本的にはHbA1c値を7.0%未満に保つようにし、正常な耐糖能の人なみの血糖値を目指す場合はHbA1c値6.0%未満を目指そう、となっています。

しかし、実際には薬を使った糖尿病治療においては、思いがけない場面で低血糖発作が少なからぬ患者さんに起こっていると思われます。従ってHbA1c値6.0%未満という目標値は、いつでも低血糖発作を起こす可能性があり、現実的でないと感じます。

私が所属する日本ローカーボ食研究会では、来る平成28年3月6日に第6回学術総会が開催され、低血糖を1回も起こさない治療がテーマとなっています。この会の中で、僭越ながら私も壇上で2題しゃべらせていたくことになっています(こちら)。重症低血糖発作を1回でも起こすと、心血管病で死亡する危険性が2.69倍(ADVANCE試験より)にも上昇し、また、低血糖発作を反復するごとに認知機能低下が起こる危険性が1.26倍~1.94倍も上昇することがわかっており、それは血糖値を積極的に下げることの利益を完全に打ち消してしまうものになるはずです。このことを強調し、無理のない目標値を提唱したいと思います。

研究会は、医師のみでなく栄養士、薬剤師、看護師などの方も参加できるものですので、このブログをお読みになった有志の方は、ぜひご参加下さい(3月6日は日曜日で、少々の参加費が必要です)。

ところで今回のブログのタイトルですが、言わずと知れたSMAPの代表曲「世界にひとつだけの花」のオープニングです。この名文句を糖尿病治療に当てはめると、1番を目指して血糖値を下げなくてもいいよ、と語っています。私には2人の糖尿病患者さんが、お互いの成績を競い合っている様子が目に浮かんできます。カーレースに例えるなら、1等賞を目指すとコーナーぎりぎりを攻めることになりますが、たまにコースアウトしてしまうのが、低血糖発作ということです。実際の糖尿病治療においては、それが死亡リスク増大、認知症リスク増大、という甚大な不利益につながるわけですから、そんな無理をしなくてもよい、と先人たちは教えてくれているのです。SMAPも無理せず活動を続けて欲しいものです。

 

投稿者: むらもとクリニック

2015.10.12更新

最近のことですが、川島なお美さんが胆管がんで亡くなり、これと同時期に北斗晶さんが乳がん告白という出来事がありました。また4ヶ月ほど前になりますが、今井雅之さんが大腸がんで亡くなるという出来事もありました。いずれも若くして発症されており、これを機にがん検診を受けてみようと考え直した方は多いのでは、と想像します。今井さんも川島さんも、痩せ細った姿で闘病されていたのは衝撃的でした。

ところで、糖尿病患者さんは、糖尿病でない方に比べてがんの発生が多いことは古くから知られており、そのため糖尿病の合併症で最も重要なのはがんである、とさえ言われるようになっています。がんというのは、皆さんにとっておそらく身近な病気ではなく、まさか自分が、という思いでしょう。しかし、現実的に日本人は2人に1人は一生のうちにがんを経験し、克服する方もありますが、克服できない方もあり、結局3人に1人はがんで亡くなっている、という事実を受け止めるべきだと思います。糖尿病の患者さんは、これよりもがんの発生する確率が多いことになります。

そこで、糖尿病患者さんが少しでもがんになりにくくするためには、どのような対策があるのでしょうか。いくつか綴ってみます。

①野菜の摂取は多めに。:各種の抗酸化物質による活性酸素の除去

②発酵食品(乳酸菌)摂取は多めに。:免疫力の向上

③よく眠る。:睡眠ホルモン(メラトニン)による発癌抑制

④よく笑う。:免疫力の向上

⑤加工食品摂取をなるべく控える。:発癌性物質摂取を避ける

⑥タバコは吸わない。酒は適量まで。

⑦口腔内の衛生に努める。:これを怠ると口腔癌や食道癌発生が増える

⑧糖尿病治療薬にはメトフォルミンを使う。:これを使用することで、癌の発生が減少することがわかっている

①から⑦は、糖尿病でない方にも共通することで、どこかで聞いたことがあるかと思います。また①②は腸内フローラの改善にも共通することです。
それぞれについて詳説すると紙面が足りませんので、またの機会に譲ります。⑧については、2型糖尿病患者さんが食事療法と運動療法で制御不十分となった場合、最初に使う薬は何がよいか、という議論になりますが、これは医師によって意見が異なります。私は総合的にはメトフォルミンがよいと思っています。ただし条件によってはこれ以外の薬を第一に使うこともあります。

今後の糖尿病治療は、がんや認知症も含めて合併症を総合的に極力減らし、健康長寿を実現するための有効なアドバイスをできるようにすることだと思います。

 

投稿者: むらもとクリニック

2015.09.23更新

この9月は、例年にない連休がありましたね。私にとっても、久しぶりの骨休めとなりました。気がつけばすっかり秋模様。これから冬にむけて、血圧に注意の季節となります。

今回は、「科学的根拠に基づく医療」について、専門用語を使わずに解説し、それについて一般論として思うところを、きままに綴ってみます。英語ではEvidence-based Medicineと言い、医療関係者はこれを省略してEBMと呼びます。エビデンスの語源は、「明らかになったこと」の意味ですが、使い慣れない方は、一つ一つの「事実」とか「情報」という言葉に置き換えてもよいでしょう。

現代の医療は、このEBMが大切とされています。治療には確かな根拠があること、そしてそれを十分説明して納得していただく必要性があります。しかし我々が持つ「情報」はあまりに多岐にわたり、その情報量も膨大で、すべてを患者さんに説明するのは大変困難ですので、どう説明するかの技量が問われることになります。実際、私が患者さんへの説明用として、診察室のパソコンに保存してあるのは、膨大な情報のごく一部です。

これらの「エビデンス=情報」は、誰が世界に提供しているのかというと、例えばたくさんの患者さんを診る大病院、とくに大学病院などです。皆さんに様々な治療が施された「成果」が集計されて、論文として世界に発信されているのです(もちろん個人情報は厳守しています)。そしてこれらの情報を集めて、専門家たちが協議した結果、どんな治療法が一番よいか(たとえば使用する薬の種類も含めて)が決まってくるというわけです。

これを「大学病院は人体実験をしている」と批判される方がおられますが、しかしよく考えてみて下さい。結果が集計されなければ、例えばある種の治療の成果がどれほどなのか、副作用は何がどれくらいあるのか、全くわからないことになります。あなたが現在受けておられる治療の成果がどれくらい望めるかが、あらかじめわかっているのは何故かと言うと、先人たちが同じ治療を受けた成果が報告されてきたからです。逆に、何も成果が報告されていない薬を、果たして使って欲しいでしょうか。

ところで、「医療は進歩したねえ」と患者さんから言われることがよくあります。まさに医療はEBMによって進歩してきた、と言えます。ところで、「進歩してきた」という事実を、逆の見方をすれば、昔の治療は残念ながら最善ではなかった、ということでもあります。しかし、やはり冷静に考えてほしいのですが、あくまでその時代には最善と判断される治療が、間違いなく行われてきたはずです。それが、新しい事実が判明したり、新しい治療法や新しい薬が発明されたりする度に、それまでの治療法が部分的に否定されていったり、修正されていった歴史があるのです。医療の進歩は、決して一直線に順調に伸びていったものではなく、様々な膨大な情報を蓄積しながら、あえて言えば苦難の道を少しずつ前進していったものだ、と思っています。

こんな歴史があるから、ふと昔の治療法と最新の治療法を比べてみると、隔世の感に襲われるわけです。具体的には、糖尿病治療も、高血圧治療も、昔とは大きく違います。そして敢えて言えば、これからも医療は進歩していくのでしょうから、現在の治療が究極のものだというわけでは決してないということも、肝に銘じるべきです。

少なくとも私が思うのは、昔のものをかたくなに信じ続けるより、新しい情報を重視するべきで、そうしなければ進歩は止まるということです。今回は総論的な話になってしまいましたが、次の機会に各論を述べたいと思います。

 

投稿者: むらもとクリニック

2015.07.20更新

7月20日、たった今、東海地方までを含む西日本で梅雨が明けたとの知らせがありました。暑い夏がやってきましたが、夏バテなどに負けていられませんね。

さて表題の「こだわり」ですが、考えてみれば不思議な言葉です。そもそもは、「小事にこだわる」あまり、大事なことをおろそかにしてしまう、という否定的な意味に用いられる言葉であったはず。しかし近年は、「素材にこだわった一品」みたいに「小事をおろそかにしない緻密さ」の方に重みが置かれているようです。

まあ、時代に合わせて物事が変化するのは万事に通じる法則なので、この際、いい意味にとらえましょう。

そこで、皆さんに問いたいことですが、健康のために、日頃気を付けていることは何ですか。運動?食事?睡眠?・・・些細な事も含めれば、なにかあるはずです。

私の場合、生活習慣病予防のために、ほぼ毎日食べているものがあります。キーワードは、①食物繊維、②乳酸菌、③ポリフェノール、④αリノレン酸、です。

具体的には、①②のためにヨーグルト、はちみつ、ぬか漬けなどの漬物、納豆など。③のためにコーヒー、チョコレート、④のためにクルミ、といった食品です。

前回の腸内フローラのところで述べましたが、①②は腸内フローラを整える役割を果たしてくれるでしょう。コーヒーに含まれるポリフェノールが糖尿病発症リスクを減らすという報告は、世界の各地から報告されており、ほぼ確実です。αリノレン酸は、人体内で約40%がEPAに変わるということで、魚類摂取不足ぎみならば、是非おすすめです。αリノレン酸を最も多く含むのがエゴマ油で、クルミはこれに次いで2位です。EPAは糖尿病発症リスクを減らすのに加えて、中性脂肪を減らし、血栓予防効果もあります。

摂り方についてひとつ注意点があります。ポリフェノールやαリノレン酸を摂取するためのコーヒー、チョコレート、クルミなどナッツ類には、共通して含まれる邪魔なものがあり、それがシュウ酸です。

シュウ酸は尿路結石の主要な原因物質です。過去に尿路結石発作を経験された方はありませんか?最も痛い病気のひとつに数えられるとおり、是非避けたい病気です。シュウ酸カルシウム結石ができるリスクには、シュウ酸摂取過剰、運動不足(肥満)による尿の酸性化が挙げられます。

しかし、健康のためコーヒー、チョコレート、クルミを摂取したいのですから、シュウ酸カルシウム結石ができないようにするにはどうするのか。それはたったワンポイント「同時にカルシウムを含む食品を食べること」です。具体的には粉ミルクをたっぷり入れたコーヒーを飲み、同時におやつとしてチョコレート、クルミを食べるということです。

カルシウムを一緒に摂取することで、腸管内でシュウ酸とカルシウムが結合してシュウ酸カルシウム分子となり、これは小腸から人体内に吸収されません。シュウ酸を単独で摂取してしまうと、体内(血液内)でシュウ酸がカルシウムと結合し、これが尿路結石を生成する原因になります。

蛇足ですが、コーヒーと糖尿病発症の報告はいずれも、ブラックコーヒーを推奨しており、糖分を入れてはダメということです。では粉ミルクは糖尿病発症に関係ないのか?の疑問がわくくところですが、これは数々の論文の系統的レビューで、糖尿病発症に関係ないと結論づけられています。なのでミルク入りコーヒーは糖尿病発症を減らすはずです。

わたくし流ではありますが、こんな風に「健康によいと信じて愚直に続ける」のが、こだわりであると思います。

 

投稿者: むらもとクリニック

2015.04.29更新

新学期が始まりました。何かとブログ更新が遅れてしまい、すみません。

最近、個人的に気になったニュースは、つんく♂さんが喉頭癌で手術を受けられた件です。喉頭癌はもともと治癒率の高い癌ではありますが、自身の声を温存して治してこそ、満足がいくものです。私自身、病院勤務時代には多くの癌患者さんに関わってきましたが、生きるために声帯切除を決断したつんく♂さんには、心から拍手を送りたいと思います。

さて最近、医学界でのトピックスがあります。腸内フローラが、個人の健康、とくに糖尿病発症や肥満だけでなく、性格や精神状態にまで影響している、というものです。先日、NHKスペシャルでも放送されました。フローラとはお花畑あるいは細菌叢(さいきんそう)の意味で、細菌叢とは、細菌の「くさむら」です。なお、「フローラル」といえばいい香りがしますが、この「フローラ」は、ちっともいい香りはしません・・・

冗談はさておき、我々の腸内に住む細菌叢のバランスが崩れ、特定の細菌が不足すると、我々の健康も損なわれるわけで、まさに我々は腸内細菌と共存していることになります。腸内細菌叢はどのように形成されていくのか、そのバランスが崩れた患者さんに、どのような治療手段があるかなど、研究はまだ入り口ですが、今後の大いなる発展が期待されます。少なくとも現在わかっているのは、よい腸内細菌を育てるためには、日頃から食物繊維や乳酸菌をしっかり摂取することであり、具体的には野菜、漬物、納豆、ヨーグルトといった食品がお勧めです。どうしても痩せられなかった人にも、一考の余地があります。

ところで、これまで私がなるべく白米よりも食物繊維が多い玄米や五穀米がよい、と述べてきた(2014/2/11~2014/05/11ブログ)のは、血糖上昇が穏やか(血糖指数が低い)であることに注目したものでした。しかし、私自身疑問に思っていたのは、白米の血糖指数が高いとはいえ、血糖指数を低くする手段はいろいろある(単純な遅食・分食や食前の牛乳負荷など)ので、食物繊維を摂取することの本当の利点がわかっていなかったことです。

なので、食物繊維摂取不足が腸内フローラのバランスを崩すことが2型糖尿病発症に大きく関わるとすれば、現代の外食産業、とくにファーストフードがもたらした利便性の裏にひそむ欠点が、おおきく強調されることになります。また、幼少期の生活も2型糖尿病発症に関わるはず、というDOHaD研究(2013/08/16ブログ)の考え方にもつながるのです。腸内フローラ、まだまだ認知度の低い言葉ですが、今後注目です。

投稿者: むらもとクリニック

2015.01.14更新

テスト

投稿者: むらもとクリニック

2015.01.03更新

新年明けましておめでとうございます。
気分も新たに、ブログを更新していきます。今年もよろしくお付き合い下さい。

予定通り、運動とタンパク摂取との関係について述べます。
運動療法のことですから、秋のうちに投稿するのが本筋だったかも知れません。
しかし、この正月3が日で、運動不足と食べ過ぎがたたって、
体重増加してしまった方はありませんか?そんな方はぜひ、参考になさって下さい。

2型糖尿病、および耐糖能異常の方には、糖質制限食だけでなく、
運動療法はとても有効です。
具体的には、糖質制限食を施行したつもりでも、
体重が落ちずに、血糖コントロールもよくない患者さん。
こういった患者さんにみられやすいのが、脂質の摂取量が並外れて多いため、
結果として高脂肪、かつ高カロリー食になってしまっている現象です。
こんな方は、筋肉の細胞内にも脂肪織が入り込んでいる(いわゆる霜降りとは異なる)、
と推察されます。これがインスリン抵抗性を産みます。

そこで、運動療法で筋肉内脂肪を減らし、ついでに筋肉量を保ち、
むしろ筋肉量を増やしてやる必要があります。
運動は、のんびりウオーキングでは効果が期待できず、
適度なレジスタンス運動を混ぜて、速歩をお勧めしています。
速歩の直前に、タンパク質、とくにBCAA(分枝鎖アミノ酸)を含む
高タンパク食品の摂取がよいとされています。

BCAA摂取は運動後の筋肉痛の軽減し、タンパク合成促進によって筋肉量増大を促す
ことが分かっており、さらに糖代謝にも好影響を及ぼすことが期待されています。
なので速歩とBCAA摂取を地道に続ければ、腹囲減少、下半身の筋力アップとともに、
耐糖能異常の患者さんにとっては血糖コントロールを改善できるでしょう。

BCAAは、薬局などでプロテインドリンクやアミノ酸サプリを購入してもよいですが、
食品で摂るなら、マグロ、鶏むね肉、牛肉、豚肉、豆乳、牛乳など。
BCAAの構成要素であるバリン、ロイシン、イソロイシンのバランスが最良なのは
鶏むね肉とされています。だからアスリートはササミを好むのですね。
なお、豆乳や牛乳なら、必要量はコップ1杯半くらいです。

糖質制限食ではタンパク摂取量が増えますので、運動療法との相性は
良好と思われます。皆様もこれをp新年の目標にしてはいかがでしょうか。

愛知県名古屋市千種区にある内科で食事療法による高血圧や糖尿病治療なら
むらもとクリニックへ

投稿者: むらもとクリニック

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