院長ブログ

2013.01.06更新

明けましておめでとうございます。巳年の本年も、よろしくお願いします。

日本ローカーボ研究会における最近の話題ですが、
高血圧症や2型糖尿病の成人患者さんに、避けて通れない、飲酒の問題があります。
アルコール代謝について、昨年12月28日に発行された「日経ヘルス」に、
かしこいアルコールの飲み方などが掲載されています。
内容がよくまとまっていて、参考になると思います。
ローカーボ研究会の代表世話人である、灰本先生も登場されます。
幸い、1月末に催される研究会でも、アルコールについて論議されますので、
その後で、当ブログでも、アルコールについてとりあげたいと思っています。

さて、季節は真冬ですので、今回は高血圧の話題です。
家庭血圧は、1日に朝晩2回測定するのがよく、その測定のタイミングは、
朝は朝食前、夜は就寝前、となっています(本文参照)。
しかし、夜は入浴してすぐに就寝される方や、夕食後もずっと飲酒されていて、
就寝直前にも酒がさめていない方もあります。こういった患者さんの場合は、
入浴の直前であったり、晩酌を飲みはじめる前に測って下さい、と
お願いするケースも出てくる訳です。
朝の測定にしても、起きたらすぐにジョギングや犬の散歩に出かけるという方もあり、
こういった方は、寒い外気に触れてこられる訳ですから、血圧は上がりがちです。
なので出かける直前に測っていただくようにしております。

患者さんによってさまざまに異なる生活様式をまず問診した上で、
最適な血圧測定タイミングを考えるべき、と思う訳です。
こういった説明は、高血圧で初めて受診された時にしておく必要があり、
そのためには、最初の診察はじっくり時間をとりたい、と感じます。

こうして始まった家庭血圧測定ですが、患者さんのデータを拝見していますと、
いろいろなことに気づきます。
例えば、夜の血圧が異常に低い日や、脈拍が多い日が時々あったりして、
これは飲酒後とか、入浴直後ではありませんか、と尋ねますと、
その通りです、と患者さんからお答えいただくことがあります。
入浴や飲酒によって全身の血管が拡張し、血圧が低下し、脈拍が上昇した訳です。

このように、患者さんの勘違いなのか、測るタイミングをアレンジしておられる
ケースが、しばしばみられます。勘違いは仕方がありませんので、
私はそれをうまく見つけ出し、細かくチェックしながら、望ましい血圧を保つよう、
これからも努力していかなければ、と思います。
家庭血圧については、また続編を書きます。

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投稿者: むらもとクリニック

2012.12.24更新

街はクリスマスイブで、素敵なイルミネーションがあちこちにみられます。
おいしいディナーを楽しんでいる方も多いでしょう。
ごちそうは、七面鳥の代わりに、チキンが多く消費されていることでしょう。

さて、クリスマスどころではなく忙しい方も多くおられると思いますので、
これくらいにしておいて、本題です。
前回の予告通り、イヌイットの食生活に関する続編です。
イヌイットが短命である理由について、脳出血や肺動脈出血が多いことが原因で、
それはアザラシを介して多量のEPA、DHAを摂取しているため、血液が固まりにくく
なっているため、との記載をみたことがありますが、この意見はどうか、と思います。

確かにアザラシの肉に含まれるEPA, DHAは、哺乳動物であるわりには多いです。
だからといって、そのせいで出血死が多くなるとすれば、どうなるのでしょうか。
我が国でも漁師さんの多くは動物の肉を食べず、魚介類を多く食べているはずです。
しかし、漁師さんが短命、とは聞いたことがありません。

この疑問に応える論文があります。
2009年にProceeding National Academic Scienceという、
基礎医学の専門誌に掲載されたマウスの動物実験ですが、
12週間の厳しい糖質制限食の結果、欧米食のマウスに比して
明らかに動脈硬化が強かったことが証明され、その原因として、
厳しい糖質制限食では血管内皮前駆細胞が明らかに減少し、
それを新生血管に誘導する酵素の活性も低下していることがわかりました。
しかも、糖質制限食実施4週の時点で、マウスの片足をしばって、その後の
血管新生を観察した実験で、欧米食マウスに比して明らかに血管新生能が
低下していることが実証されました。

マウスの実験じゃないか、とおっしゃるかもしれませんが、
動物実験というのは、食事を完全に管理できるため、信頼度が高いのです。
(逆にヒトでは、指示された食事を長期間守るのは難しく、脱落しやすい)
しかも、ハーバード大学の心血管センターと幹細胞研究所が、
この論文に関与しています。
厳しい糖質制限食で心血管疾患が増えるという臨床データを
説明する答えとして、十分であると思います。
マウスとヒトの寿命から換算すると、ヒトが厳しい糖質制限食を2年半ほど続けると、
すでに血管再生能力が低下していることになります。

主旨は血管再生能力すなわち血行障害に関することですから、
イヌイットに出血死が多いことについて、直接の答えにはなりませんが、
少なくとも、厳しい糖質制限食が血管に対して悪影響を起こすことは
容易に推察できます。
つまりEPAやDHAの血液サラサラ効果のせいで出血死しやすいのではなく、
極端な糖質制限食を続けた結果、出血死しやすいのでしょう。
日本の漁師さん達は、魚だけでなく、穀物や野菜も食べているでしょうから、
そんな危険はない、と言いたいのです。

再三述べているように、厳しい糖質制限食を施行するとしても、
なるべく短期間にしておいて、
糖毒性が解除されたら、穏やかローカーボか、
従来の食事療法に戻すべき、と思います。

では、メリークリスマス

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投稿者: むらもとクリニック

2012.12.03更新

寒くなってきました。今、巷では、ウイルス性胃腸炎が流行しています。
発熱に加えて嘔気、嘔吐があり、点滴を必要とする例が多くみられます。
ひとたび発生すると、家族内で広がりやすいこともあり、困った病気です。

さて、予告通り、赤肉についての続編を書きます。
そもそもローカーボダイエットがもてはやされる発端として、
「イヌイット(エスキモー)は糖尿病になりにくい」という事実がありました。
ちなみにエスキモーという言葉は、生肉を食らう者、という差別的な
ニュアンスがあるため、現在ではイヌイットと呼ぶのだそうです。
糖質をほとんど摂らずに肉を中心に食べていれば糖尿病になりにくいのだ、
ということから、糖質制限食を糖尿病患者さんに応用したり、
糖尿病発症の予防に用いよう、という発想が生まれたわけです。

さてイヌイットは主にアザラシを食べて生きています。アザラシの肉というのは
どんな肉なのか、と思い、調べてみましたところ、これが見事な赤肉でした。
考えてみればアザラシは肺呼吸する哺乳動物で、
潜水して獲物をとらねばならないのですから、これはクジラと同じ状況です。
酸素を筋肉内に多く蓄えることのできるミオグロビンが是非とも必要な
動物ですから、クジラと同様に赤肉であるのは不思議ではありません。

健康人が厳しい糖質制限食を続けた時、それが動物肉、特に赤肉が中心であると、
むしろ糖尿病になるリスクが高くなることが、ハーバード大の研究グループによって
明らかにされたことを、すでに述べました(ブログ2012/09/02, 2012/10/27など)。
すると、イヌイットの食生活は糖尿病になりやすいものであるはずで、
この法則に反するではありませんか。

だから、この件は、冷静に考え直す必要があると思います。
イヌイットの糖尿病の発生率は、約0.02%とのことです。
本当であれば確かに低率です。
しかし、イヌイットはかなり短命な民族であるそうで(正確な平均寿命は不明)、
糖尿病になる前に、多くの人が死んでしまっている可能性があります。
また、健診制度がどこまで普及しているのかを考えれば、0.02%という数字に
疑念を抱きたくもなります。

0.02%が本当であるとしても、こんな考え方もあると思います。つまり、
イヌイットたちは、長年にわたる赤肉の大量摂取によって、
膵β細胞はかなり萎縮してしまい、インスリン分泌能は低下している。
しかし、糖質をほとんど食べないため、日常的に血糖値の上昇は起こりにくい。
従って、空腹時血糖とHbA1c値を測ったとしても、異常を発見できない。
代わりに、もしもブドウ糖負荷試験を行えば、多くのイヌイットが糖質を代謝できず、
糖尿病型の血糖上昇パターンを示すであろう。
つまり、イヌイットたちは、普段の肉食では血糖上昇しないが、
その代わり、一生糖質を食べられない体になってしまっている


上の、『』の中に述べたことは、私の推測ですが、おおいにあり得ると思います。
この考え方を実証するのは、大変だと思いますが、日本ローカーボ研究会の中で
議論してみたいと思っています。

赤肉主体の食事の弊害については、ほとんど書き終わりましたが、
イヌイットが短命である理由について、少し追加したいことがありました。
これを次回に書きます。

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2012.11.14更新

11月14日、今日は世界糖尿病デーで、糖尿病の脅威を啓蒙していこう、
というコンセプトで制定された記念日であるそうです。
新聞には関連記事が載っていましたが、その他では
あまり耳にすることがなかったかも知れません。
それにしても、我が国を含めてアジアに、なぜこんなに糖尿病が多いのか、
なぜ我が国では依然として糖尿病患者さんが増え続けているのか。
これについては、いろいろな原因が考えられます。
医師として、とにかく何とかしなければ、という想いで、順次述べていきます。

前々回(2012/10/27)の補足として、赤肉、白肉についてもう少し述べます。
赤肉は赤筋(遅筋)で構成され、これに含まれるミオグロビンは、
持続的に運動するために必要な酸素を筋肉中に蓄えるためのもので、
赤肉の典型例は、一生泳ぎ続けるマグロの赤身です。
またどんな動物も、心臓の筋肉は当然赤肉です。
一方、普段はじっとしているのに、突然速く動く動物の筋肉は、ミオグロビンを
含む必要がないので白筋(速筋)となり、ヒラメ、エビがその典型です。
赤筋、白筋の他には、その中間的な役割の中間筋も存在します。
純粋な赤筋、白筋のみからなる筋肉はなく、これら3種の筋が
様々な割合で混じっています。
 
さて陸上動物はどうでしょうか。
牛はじっとしているように見えますが、常に立っていて
少し左右に揺れています。
牛にとってはこれが持続的な運動であるため、牛肉はほぼ赤肉となっています。
豚肉、鶏肉は、生の状態ではピンク色に見え、赤肉と白肉の中間的なものです。
鶏の場合、もも肉を加熱すると、断面がやや黒っぽく見えます。
このため鶏のもも肉は英語でdark chickenと呼ばれています。
これはミオグロビンの色で、鶏はずっと立っているため、
牛と同様にミオグロビンを必要としているのです。
しかし、鶏はめったに羽ばたきませんから、
鶏の胸肉やササミは白肉が主体です。
 
シャケが白身であることは、前回にも触れました。
シャケは小エビをたくさん食べるため、本来白身であった自らの肉が、
小エビが持っているアスタキサンチンという赤い色素に染まっている訳です。
白身魚は全体に身が透き通った白肉から成っていますが、
側線の下には血合い肉を持つものがあり、この部分は赤肉となります。
アジは白身と思われていることが多いと思いますが、
全体に薄い赤色が混じっており、なんと赤身魚に分類されています。 

今回は赤肉白肉の解説で終わってしまいましたが、これらのことは、
一般知識でもありますから、ぜひ皆さんに知っておいていただきたいと思います。
なぜ私がこんなに赤肉白肉にこだわるのか、については、
次回、「我々はイヌイットにはなれない―その2」と題して、
肉の話題の締めくくりを述べたい、と思います。

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2012.11.12更新

アメリカでは、オバマ大統領が再選を決めました。
今回のスローガンは、Forward、前に進もう、というもので、
初当選の4年前のスローガンは、Change、変革でした。
一方、我が国の政治は迷走していますね。政界再編間近のような匂いもあります。

これをローカーボの世界にも、何か共通するものがあるような印象があります。
糖尿病の食事療法に糖質制限食が登場したのは、確かにChange、変革でした。
しかし現在、その方法は医師により様々で、統一されていません。
従来のカロリー制限食を支持する医師とも対立、
ないし少なくとも意見の一致が得られない状態です。迷走状態、と思います。

ローカーボ食を施行する場合、当院が行っているように、
1食のみの糖質制限を中心とする「穏やかローカーボ」が、
全体の主流であると信じておりますが、
中には3食とも糖質制限する「厳しい糖質制限」を唱える医師もいます。

しかし、ローカーボ食を厳しくすればするほど、かえって糖尿病になりやすく、
総死亡率や癌による死亡も増えることが示されており、
しかもこれらはハーバード大のグループが明らかにした、厳然たる事実です。
植物性タンパクと脂肪を主体に食べれば、死亡率も糖尿病発症も増えません。
しかし、巷にあふれる肉料理を、長期間我慢することはとても難しいと思われ、
どうしても赤肉の摂取量が増えると思われます。
このため、全体としては死亡率が増える結果となるのでしょう。
だから「穏やかローカーボ」、しかも植物を主体としましょう、と述べているわけです。

ローカーボ食を指導する医師が、こういった問題点をしっかり患者さんに
伝えていけるかどうかが、今後はとても重要、と思います。
糖質を諸悪の根源であると勘違いし、これさえ食べなければすべてハッピー、
という偏った考え方は、やめてください。

医師によって指導が異なる、ということを、あえて迷走状態、と述べました。
しかし、こんな状況からも、光を目指してForward、前に進まねばなりません。
人類が糖尿病を克服するのは難しいでしょうが、少なくとも、糖尿病の発症を減らし、
結果として我が国が長寿国としての位置を保ちながら、
可能であれば医療費も減らせる日を夢見て・・・。

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2012.11.04更新

スポーツの世界では、プロ野球シーズンが終了し、サッカーやゴルフは大詰め、
フィギュアスケートやカーリングといった、ウインタースポーツが既に始まっており、
秋から冬への移ろいを感じます。

いつもは糖尿病関係のブログが多いので、今回は高血圧の話題です。
高血圧患者さんには、可能な限り家庭血圧を測定していただくのがよく、
これは今や常識です。

私のクリニックに通っておられる高血圧の患者さんのうち、約8割が家庭血圧
を測定して、さらに記帳して持ってこられます。
患者さんが受診されるたび、一度は診察室で外来血圧を測ります。
これがたまに高い値を示した時に、よく聞かれる言葉があります。
患者さん曰く、
「ああ、ちょうど今朝、薬がなくなっていることに気づいたから来たのです。今朝はまだ
薬をのんでいないから、血圧が高いのですね。今朝の家庭血圧も高かったです」、と。
そういう気分になるのは無理もないのですが、それはちょっと違います。

もともと、朝の家庭血圧は、朝食や朝の薬よりも前に測定していただくよう、
お願いしてあります。
普段の家庭血圧が安定しているということは、薬を飲む前の血圧が
良好であることを意味します。そこへ、今日の薬を飲んだときに、
ポン、と血圧が下がってしまったら、大変です。

最近よく使われる降圧剤は、ほとんどが1日1回服用するタイプで、
効力の持続性がよいのです。
例えば薬がない状態から、薬の服用を開始した時を考えてみると、
初日からすぐに最大効果を発揮するわけではなく、徐々に効果が増していきます。

これを説明するのに、私流の説明をすると、こうなります。
「例えば自転車を発車させると、ペダルを踏むごとに次第に速度が増していきますね。
しかし、どこまでもスピードが増すのではなく、一定の速度で安定するでしょう。
安定した後も、ペダルを踏み続ける必要がありますが、毎日飲んでいる薬の効果は、
このペダルを踏む1回分の力に相当します。
では、ペダルを踏むのを休むと、しばらくは惰力で走っていきますが、
次第に速度が落ちていき、しまいには止まってしまいます。
つまり、たまに薬を飲み忘れた時にも、
昨日のんだ薬、さらには2日前や3日前にのんだ薬も、
体の中に少し残っており、だからいっぺんに血圧が上がることはないのです。
だから今朝の家庭血圧が高かったのは、薬がないことに気づいて不安になったとか、
他の原因で上がったとか、そうでなければ偶然高かっただけ、ということでしょう。」

正しく言うなら、薬の血中半減期とか、受容体への結合の安定性、というような
難しい専門用語を使わなければならないところですが、
そんな言葉を使わずに説明するにはどうしたらよいか、と考えた末のものです。
ブログの表題の意味が不明だったかと思いますが、悪しからずご了承を。

この説明で、理解できたとおっしゃる患者さんは多いのですが、
だからといって、薬を時々のみ忘れてもよい、ということではありません。
これも念のため誤解なきよう、お願いします。

これから季節は冬に入りますが、夏から冬にかけて、一般的には
血圧が上昇するため、注意が必要です。家庭血圧を記帳しておられる患者さんは、
是非、続けていただきたく思います。

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2012.10.27更新

秋深くなりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
最近のうれしいニュースは、何と言っても京大・山中教授の
iPS細胞に対するノーベル賞授与のことですね。
実用に向けての、さらなる成果を期待したいと思います。

さて前回の続きですが、厳しい糖質制限食の欠点について、述べます。
厳しい糖質制限食を試みると、白米、麺類、パンをはじめとして、
ニンジン、カボチャ、レンコン、イモ類(こんにゃく以外)をほとんど食べない訳ですから、
代わりに肉、魚、卵、葉や茎の野菜、といった食材の比率が増えます。

肉、魚のうち、一般に好まれているのは牛肉、豚肉、まぐろあたりでしょうか。
これらは肉質が赤く、赤肉と呼ばれます。
これらを食べ過ぎると糖尿病の発症が増えることを、既に述べました(2012/09/12参照)。
そこではメカニズムを述べませんでしたが、推察されているのは、
赤肉に含まれるミオグロビン、さらにその中に含まれるヘム鉄の摂りすぎが、貯蔵鉄の過剰を産み、
これが強い酸化作用を介して膵臓のβ細胞を攻撃し、長年にわたると膵臓の萎縮、
さらにはインスリン分泌の低下をきたす、と考えられています。

糖尿病の治療として糖質制限しているのに、長期間続けた時に赤肉の摂取が増えると
糖尿病が悪化することが予想され、これでは本末転倒です。
だから糖質制限した分を補うのは植物性タンパク質や植物性脂質を中心にして、
肉類ならば白身魚やイカといった白肉の方が安全、と述べているわけです。
なお、シャケも白身魚ですので、念のため。

また赤肉の摂取過剰、とくにハムやソーセージといった加工肉の摂取過剰は、
世界的には大腸がんの発生とも関係があるとされています。
日本人ではこれらの摂取過剰と大腸がんの発生との関連はあまり強くない、と
報告されてはいますが、やはりこれも無視できない情報です。

しかし、糖尿病やがんになる確率を減らしたいからといって、
おいしい牛肉を一生食べられないのでは、あまりにも悲しいですよね。
なので少なくとも、糖質制限の際には、これの摂取量が増えないようにしましょう、ということです。
こういった意味で、白身魚とオリーブ油をふんだんに使った地中海食が、
健康食として世界的に認められている、ということになります。
イタリアで重宝されるパスタは、白米に比べてGI値(血糖指数)が少ないことも、
強調しておきたい事実です。
なので私は、何を食べようか迷った時は、可能ならばパスタ、あるいはソバを食べています。

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2012.09.29更新

めっきり冷えるようになってきました。そこで、まずはインフルエンザワクチンのお知らせから。
当院では、今年も10月15日からワクチン接種を開始します。
名古屋市に住民票のある65歳以上の方は1回1,000円、
それ以外の年齢の方は、おひとり1回あたり2,500円(消費税込み)です。
本文もご参照下さい。必ず事前の予約をお願いします。

さて前回、TVの健康番組について書きましたが、最近、注意してみておりますと、
やはりマスメディアへの糖質制限食の登場回数が多い、と感じます。
2週ほど前ですが、週刊朝日の中で、脂肪肝を治す方法として、
糖質制限食が取り上げられていました。

9月15日のことになりますが、TBS系の土曜17時30分からの、
報道特集という番組に糖質制限食がとりあげられました。
治療法の概要・目的・注意点まで、冷静にとらえて解説した内容でした。
糖質制限食の利点が紹介された後に、
注意点としては糖質制限食では蛋白質と脂質の摂取量が増えるため、
腎機能障害の強い方は、尿毒症の懸念があるため不適、
また肝障害の強い方も、糖新生がほとんどないために、
低血糖発作を起こす危険性があって不適、と述べられていました。
もちろんこのあたりのことは、われわれにとっては周知の事実です。

また9月21日には、NHK総合22時からの、「情報LIVE ただイマ!」の中でも、
短時間ですが、糖質制限食に触れられていました。
この番組内容を補足しますと、糖質制限を正しく実行した時には、
中性脂肪が減少し、LDL-コレステロールは不変ないしやや減少することが確認されており、
体重も不変ないし減る方向です。

これらの変化は、糖質制限食の短期的なメリット(すぐに現れる効果)である、として、
ほぼ世界的な共通認識となっています。
ただし長く実行するとどうなるかが、必ず問われます。
厳しい糖質制限食(3食とも主食を摂らない)を長期間続けると、
心筋梗塞と脳梗塞になる人が増える、という研究結果が出ており、
どうやらこれも世界の共通認識となりつつあります。
厳しい糖質制限食のマイナス点です。

こういった事実から、当院では、夕食のみ糖質を制限する方法を、
糖質制限食の標準としております。
これを世界では「緩めのローカーボ食」と呼んでいます。
何事も極端なことはよくない、ということになります。
ただ、一般論ではなく、なぜそうなるのか、については、考えられる理由がいくつかあります。
それについては次回。

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2012.09.16更新

昼と夜の寒暖差が出てきました。風邪には要注意です。
実は先日、当院に今シーズンのインフルエンザ第1号の方が来院されました。
この時期には散発的に発生するのみで、珍しいことです。
本格的シーズンはまだ先ですが、その前の予防接種をお忘れなく。

さて、私は日頃、TVの健康番組を、なるべく見るようにしています。
患者さんから、「先日のあの番組の内容は本当ですか」と質問されることがよくあり、
患者さんたちは、TVも含めて、こういった情報に、少なからず影響を
受けることがあるだろう、と感じるからです。

最近では、気になったものがありました。本日はその話題を。
主題は、高血圧の人はしっかり減塩食を実行しましょう、そしてその具体的な方法を教えましょう、
というもので、これを懇切丁寧に行っているクリニックが紹介されていました。
なるほど、参考になるところはあり、日頃私が指導している減塩食と共通する考え方でした。
他には体重を減らそうとか、漢方薬が効く場合がある、といった内容でした。

私も薬は少ない方がよい、とHP本文中に書いており、基本的には賛成です。
番組の内容は、大筋は間違っていないのですが、
ただ、減塩すれば高血圧は治る、と誤解してしまいかねないものであったのが気になりました。
また、血圧は下げないほうが患者さんは元気、と発言した医師もあり、
これは誤解されやすい危険な発言だと思います。
これを視た患者さんが、降圧剤はなるべく服用しないのがよい、と考えて
降圧剤を敬遠してしまったり、これを処方する医者を「間違った医者」と誤解したりしたら、
それこそ大問題だと思います。

実際にはどうかというと、降圧剤なしで血圧を下げることは、そんなに簡単ではないです。
食塩感受性、という言葉があります。
減塩食を実行すると、しっかり(10mmHg以上)血圧が下がる人のことを指しています。
食塩感受性の高い人は、食塩をたくさん摂取すると、逆にしっかり血圧が上がります。
日本人は、食塩感受性のある人は少ない(おそらく40%ほど)とされており、それを踏まえて考えると、
降圧剤なしで高血圧が治る人は、軽症高血圧で、さらに食塩感受性が高い人、ということになります。
それは高血圧の患者さんのうちのごく一部だと思います。

食べる楽しみを残しながら減塩食を実行することは、大切だと思います。
しかし、中等症(収縮期血圧160mmHg~179mmHg)以上の患者さんは、やはり薬が必要でしょう。
そのうえで、睡眠時無呼吸症候群の可能性も含めて睡眠の質がどうか、
日常のストレスはどうか、といったことも、判断・指導・治療を受けるべき、と思います。

TV番組から情報を得ることはよいことですが、それを冷静に判断する力が必要な場合があるのです。

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投稿者: むらもとクリニック

2012.09.02更新

いつしか9月、しかしまだ残暑厳しく、熱中症対策も続ける必要があります。
ところでみなさんが今、面白いと思われるテレビ番組はありますか?
私個人的には、NHK総合木曜22時からの、総合診療医ドクターG、です。
2010年頃からあった番組ですが、今年はオリンピックで一時中断して、再開したところです。

研修中の若い医師3人が毎回チャレンジし、先輩医師からの出題に答えていきます。
若い医師達もなかなか優秀ですが、番組を作る上の戦略なのか、
すぐには正解にたどり着けないように、ひねってあります。
しかし最後にはしっかり正解にたどり着くよう、先輩医師がやさしく導いている感じ。
そして最後に、若い医師達に贈る教訓をいただいて、すがすがしい気分で終わる。
みなさんも一度、視聴していただいてはどうでしょうか。

さてNHKといえば、番組「クローズアップ現代」の中で、糖質制限食が放送された、とのこと。
残念ながら見過ごしてしまいましたが、ホームページで要旨を拝見しました。
内容は、糖質制限食だけではなく、様々な新しい糖尿病治療法についてのものでした。
しかし、NHKでもとりあげられた、というのは、今後いよいよ広まっていく予兆でしょう。

糖質制限食の基本は、カロリー計算必要なし、となっています。
これが従来のカロリー制限療法と、まったく考え方が異なる訳です。
番組中にあった、糖質制限食の失敗例の患者さんは、糖質制限した結果、総カロリーも
大幅に減らしてしまった。これでは自分の筋肉が分解されて、痩せてしまうのが当然です。
極端な糖質制限と、極端なカロリー制限を、同時に行うべきではないのです。
こういった、「やり過ぎ」の患者さんを、ローカーボ研究会では、「不安定ローカーボ」と名付けて、
注意しています。こうならないためには、タンパク質と脂質の摂取を増やすべきです。

その際、植物性脂肪の摂取を増やして欲しいのですが(2012年3月17日ブログ参照)、
糖質制限した時に、身近な食べ物は肉です。ところが、牛・豚・羊といった「赤肉」を食べ過ぎると、
糖尿病になるリスクがかえって増加する、という報告があります。
そのメカニズムは解明されていませんが、糖尿病患者さんも、糖質制限食を取り入れた場合、
赤肉の摂取を増やすのは、よくないと考えるべきでしょう。
肉が好きなら、なるべく白い肉(鶏、白身魚、エビ、イカなど)の摂取を増やすのがよいでしょう。

人間はサルから進化しましたが、サルは総カロリーの約95%を植物から摂り、
残り5%は小さな昆虫から摂っているそうです。
人間は様々なものを食べる知恵を得て、雑食として生きていますが、サルの実例から考えると、
動物由来の食品が多すぎてはダメなように、できているのかもしれません。

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